2007-05-12

ファッショ

 音楽史の試験勉強しないとならない。

 ミッカの音程練習した。

 シェーンベルクの音程も。


 シェーンベルクの音程をさらってて感じたけど、西洋音楽って、音程をそれぞれかなり思い込みのように
「シはシだ!!」「ソ♯はソ♯だ!!!」と決め付けて体にいれていかないと、ちゃんと曲の中の音程にならない。
さすが、ファシズムの音楽だなあ、と思いながらさらっていたけど、自分のように、「シはときどきシっぽくないときもあっていいかもしれない」とか「ここにはソ♯が書いてあるけど便宜上で、解釈次第で・・」とかのようにいかにも日本的にあいまいに譜面を読んでいるとぜんぜんシェーンベルクらしくならない。ふにゃふにゃになる。

 根の気質が日本的だから、こんな分別臭いゲルマンファシズムのような頭の回路にするのはおっくうだけど、やはり切り替えないとどうにもならない。


 とはいえ、なんか時代錯誤っていうか、こんなことを続けているべきなのかな・・と思ってしまう

 アジア人がレンガの音楽ではなくて、藁葺きの音楽に早く戻れるときがくるといい

2007-05-09

WASABI MIX

 前々からスゴスゴした感じで学校が企画していた室内楽のデカイ企画が、あっさり倒れたらしくて、今日は一日なにもなかった・・のでかなり休みました。

 もうこの学校の企画倒れ系のネタは飽き飽きするほど体験しているので、「またかぁ」程度だけど、あそこまで気合入れてた感じのまで無くなったりとかすると、いよいよもう信用できないっていうか、まあもう日本帰るし、どうでもいいかな感も漂います。


 で今日は明日のレッスンのためにクセナキスをさらい倒す覚悟でいたのだが・・左の親指を軽く炒めてじゃなくて痛めてしまって、結局ほとんど遊んでたじゃないか・・笑
ってことで明日も先生キレさせると思います ごめんなさい先生

 ベルギーに留学しながら言う話じゃないけど、阿部寛の演技が良い。「自意識」を感じさせない演技。
別にうまくないんだけど、引き込む表現というのかね。
ほとんどの俳優の演技が見ててイライラしてくるのに比べて、彼の演技は段違いです。こういうのも音楽と同じだなあ、とか思いながら、つまみにビールで俺はなにをやっているんだ・・


 ということで最近見つけたこっちのつまみ
日本コーナー

「wasabi mix」てのと
「Hot Rice」てのにはまってるんですが、
かなりいける。




わさびミックスは、なんかの豆にせんべいみたいのがコーティングされた見た目ぎんなんみたいなやつ。になんとなくワサビの香りが。日本で売っても絶対売れる というか日本に売ってた記憶がある

ホットライスは、普通に「歌舞伎揚げ」。

こんどは「bansai mix」ってのもトライしてみます。

オランダの日本風食品とかは悲惨という話を聞いたけど、ベルギーはなかなかやる。

「yakisoba noudle」とかも、見た目は東南アジア風だけど、中身は工夫次第でいいものが作れる

そういう感じで、すっかり日本の生活をこっちで築き上げている日々です。だんだんこうなるんだろうな。



ふむ・・ちょっと気がたるんどるな・・引き締めないと。

2007-04-26

ジョン・ケージの日




 長いです

 とてつもなく疲れた・・こんなに大変な日になると思っていなかった。

 コンセルバトワールのジョン・ケージ祭、ジョルネ・ケージが終わりました。

 どこが出資元なのかもわからないけど、かなり気合入ってて、学校総出の企画で1日3回のコンサートでケージのありとあらゆる作品を演奏しまくりました。学長も来ていた。


 で、自分は16時からの部と20時30分からの部に出演させてもらった。

 16時からの部は、私の弾く「6つのメロディー」ギターデュオ版を、「リヴィングの音楽」のあいまに散りばめた超フリースタイルで切れ目なく演奏しました。
お客さんの椅子もバラバラで、中心も無い感じで、中心ぽいところにソファーとリヴィングっぽいテーブル、植木とかが配置され、いつも試験で使う教室が一瞬にしてリラックスリヴィングルームのようになりIDC大塚家具みたい。


 「リヴィングの音楽」は、4人の奏者がリヴィングの空間を使って、そこらへんにある雑誌とか、テーブルとか、椅子とかをアフリカンリズムのように鮮やかなコンビネーションで奏でるリズム音楽。
まるで日常のシーンから突如見えない音楽が湧き上がってくるみたいで、よかったです。

 で、彼らの楽章のあいまに、小品を一つずつ、お客さんの中に立った私たちが演奏しました。
 窓も開け放たれてて、夕方に、だれかの練習する音とかも迷い込んできて、たゆたんだような我々の空間と絡み合って、かなりよかったと思う。

 中心のない演奏会場の雰囲気ってなかなか良い。


 それから18時からあった「サティーへの手紙」と題したピアノ音楽の部を聴きに。

 プリペアドピアノのための小品、生で聴いたらものすごい衝撃。あれは生で聴くべき。ちょっとプリペアド具合が足りなかったような気もする。


 20時30分からはホールにあるカフェに移動して大トリ。

 12台のラジオのための”ランドスケープ”と、ヴァリエーションのⅠ~Ⅳを演奏。

 プログラムを貰い忘れたんで曲名がわかんないんだけど、4人の演奏家がトイピアノや石やサイレンやピストルで演奏した曲が、そうとう来た。

 ほとんど、「ポーン・・」とか「ガーン・・・」「グシャシャシャ・・・」みたいな単発音だけで出来てるんだけど、ある程度時間がたってふと気がつくと、その沈黙の美しさに唖然・・沈黙の距離感の美しさ・・これはほんとうに、ベタですが龍安寺の石庭を前にしたときのような特別な空間感覚。

 あるすごいタイミングでお鈴が、ポーン、と入ったときにはその西洋装飾の天井を眺めながら泣きそうになってしまった。

 沈黙に聴こえてくるバイクの音とか、夕方の湿った外の雑音もフと入ってきたりして、なんか小学校のときのけだるい夕方とかを思い出した。


 ラジオの曲の演奏はまあまあだったと思います。演奏してたからよくわからないけど。俺のラジオには突如ロシア語放送とか入って嬉しかった。


 ヴァリエーションは一番難しかった。
4作品とも完全な偶然性の図形楽譜をつかった作品で、リアライゼーションの誠実さが一番問われる曲だと思う。ほんとに厳しい。

 我々がやったのは、そうとうユルイ部類の演奏だったんじゃないでしょうか。単純に即興をするっていう。「適当」の一歩手前、紙一重。

 もっと極限まで完璧な作りこみをしたかったなあ。
極限まで作りこんで、そこから一気に解放するっていうコントラストのある演奏がしたかった。


 追記:この日の午前中には学校で、ブリュッセルからそのスジのスペシャリストの方が来て、「アフリカンリズム、インドのリズム、どうなってるの?」の特別セミナーがあったのだけど・・・インドのリズムすげーーー・・・・・宇宙・・

2007-04-10

休み中

 日曜日からはずっと家にいて疲れをとっています。
復活祭の休みだからね。

 今日メディアテックでフローベルガーのクラヴサンの組曲集を借りてきて聴いてます。Bob van Asperenの演奏。
 演奏がいいのか楽器なのかは分からないけど、かなりいい。。

 楽器は作者不明の1700年代のフランスの楽器らしいけど、チェンバロの印象を覆されるほど豊かでたおやかで美しい
 一緒に借りてきたバッハのフランス組曲も聴いたんだけど、やっぱバッハはもういいや、って感じ。高橋悠治の「バッハはもういい」じゃないけど


 バッハより前の作曲家の作品はことごとく、ゆったりした夜に聴いても、疲れた帰宅後にどっぷりとリラックスしながら聴いてもとても心に染み入ってくるものが多いとやっぱり思う。

 フローベルガーははじめてしっかり聴いてみたけど、時間の情緒がまだ生きている時代の音楽だなと思ってちょっと意外だった。

 ギタリストがたゆたみながらコードをかみ締める感じが、クラヴサンにある。バッハになると急に、鍵盤を前にした事務員のような窮屈さが出てくる。とたんに、「クラシック音楽(古典派て意味じゃなくて)」聴いてる気分になる。


 バッハって、やっぱ勉強するべきなのかな・・?その辺最近よく分からなくなってる部分。まあ、弾きたかったら弾けばいいとは思うんだけどね。



 ところで全然話が違うけど、最近日本の携帯観察してて、こっちと比べての先進具合にあらためてスゲーと思ってます。SIMロック方式(?)が日本の携帯産業を鎖国状態にしてるっていうけど、鎖国なりに発展度がやっぱりすごい。。独自の温室で発育してるって感じで。

 こっちの携帯はカードを入れ替えるだけだけど、これだとやっぱり電話会社のサービスっていうのが端末レベルまでに行き渡りにくいせいもあってか、細かい部分までのサービスが発展しないんだろうな、という感じがする。

 欧米はこれでいいのかもしれないけど。「しょせん電話じゃーん」の大雑把な感じだし、日本のように街中そこかしこで若者が携帯いじりまくり、の現象はほぼ無い。携帯に縛られてる感じは薄い。

2007-04-08

サンキャ




 昨日までフランスブルターニュ地方にある海沿いの街、Saint cast(サン・キャ)というところに1週間自分の先生の講習会に行っていました。

 予想していたとおり地獄でした。


 一日2回それぞれ1時間のレッスンに加えて、身体と楽器のための授業2時間、それをほぼ1週間毎日です。
そして同居の友人男2人たちはまったく料理というものをしないため、1週間缶詰レトルト生活でうんざり。

 めっちゃくちゃ海がきれいなリゾート地なんだけど全然リゾート地にいたという記憶がない。
こんなスケジュールで練習する時間すらないのに、言われたことがちょっとでも出来てないと猛烈な説教でしごかれる。
 しかも同居のやつらのフランス語がナゼか全然聞き取れなくて(かなり若者言葉っぽい)完全に俺は一人の世界に入り込み、没念とした感じでおって、知恵遅れ扱いされながら、西洋人の生活リズムに振り回されまくって強烈なストレスの蓄積に性根尽き果てたという感じで。それでも毎晩一緒に呑みに出かけ、毎回ベロベロで2時3時に寝る、みたいな生活だったんで体力的にもかなりキた。

 まあ愚痴ればキリがないんだけど。

 ほんとキツかったっす。


 しかしながらミッカにかなり集中してとりくむことができた。
講習開始2日目ぐらいにいきなりファイナルコンサートで弾け、とか言われて、まさにミッカ講習となり、それなりに熱い講習にもなった。

 最後のレッスンの前の日、「今日はもう見てやらないから、明日のレッスンで私が言った事全部できていなかったら殺す」と言われてしゃがりきでさらい、最後のレッスンでは一応音楽面では認めてもらえて、ご褒美と称して先生が人生で一番好きな曲、というのの譜面を与えてもらいました。

 この光景は夕暮れ時だったのもあってさながら剣士の師匠が弟子についに皆伝を認めて伝家の宝刀を手渡す瞬間のように見えて、一人であとで勝手に浸ったりしていました。


 ともあれキつかった・・2年前に行ったときも半年分の精神力と体力を奪われたようだったけど、今回もキつかった。

 帰りは、ブラジリアンのブレンダという打楽器の女の子と一緒になって、パリまで一緒に帰ってきた。
この人がまたかなり個性的で、話し方とかしぐさがまるで羽衣の中を常に舞っているかのように、ひたすら漂った印象的な人でした。薬でもやっているんじゃないかというぐらい。

 でも音楽的な話やどういう音楽をやっていきたいかっていう話でかなり意気投合だった。
もう勉強とかウンザリだよね、とか、めちゃくちゃなことやって前衛、とかもうたくさんだよね、とか、いろいろ話しながら帰ってきた。
 いつかなにかで再会できたらいいなとか思ってる。


 

2007-03-28

雑談

 今日はエマニュエル・バッハのシンフォニーの合わせがあるはずだったんだけど、トップを弾いてくれるバロックヴァイオリンの先生が来ず、合わせ中止。予算の問題で合わせ削減されたらしいです。連絡しろよ・・

 ということで5月9日まで合わせ無し。

 この先生、パリの高等音楽院のバロックヴァイオリンの教授で、フランス系の古楽界ではかなりスーパースターな方。でもうさぎっぽくてファニーで良い感じです。

 ヴァイオリニストの良いバージョンの人って、だいたい享楽的でいつもめちゃくちゃ明るい人が多い気がする。
楽器がそういう楽器だからね。良い側面が出るとこういう感じ


 で、合わせがなくなったんでスーパーへ行って食材を買い込んで、うろうろしていたらキレイに満開を迎えた桜が!!
こんなところで満開のお花見を出来るとは思っていなかった。これで今年はお花見ができた!!inリエージュ


 


こないだ行った演奏旅行の帰り道、サービスエリアでゲームを見つけたロシア人のコントラバスのおっちゃんが、急に興奮し出してゲームコーナーの銃を構え、撮影大会。↓



本人超本気です。
で、このあと俺がとった写真を欲しがって、
「オクッテオクッテ!」
「ブルートーゥースブルートゥース!!!」
「ジュシンジュシン!!」

とかってものすごい勢いで俺の携帯を取り上げる。
で送ってあげたら大満足。
「サンドイッチいるか?」
と優しく心使ってくれました。。

この人去年も本番のとくに楽屋に子供のためのお土産の音が鳴るガンのオモチャ買ってきて、
楽屋で鳴らしまくってスゲー楽しそうにしてたんだけど・・

いいなー。こういうロシア人。
学生時代に覚えたロシア語でちょっと話したりした。

やはりいまだにロシアは好きです。
ロシア語も好き。


最近分かったことは、欧米の気取りがどうがんばっても俺には合わないんだなということ。
もとから合わせるつもりもなかったけど、気が付くとついつい合わせてしまってる。

マクドナルドかクイックが食いたい・・
突然のファストフード欲。

今日は休みなんでこの良い天気のもとゆっくり休みマース

2007-03-19

土日干

 
 選集土曜日、クリストフの教えているアカデミーの演奏会で尺八を吹く。
Saint-Hubert(サンチュベール)というかなり田舎の教会で古典本曲「山越」を吹きました。

 教会と尺八、そうとう浮くだろうか・・と思っていたんだけど、かなり意外なことに恐ろしく空気がマッチ。時空感覚がかなりピッタリ来ていました。不思議だね。恐らく、瞑想的な空気感が合っていたんだろうと思うけど。

 というわけでけっこう成功でした。あんな田舎に日本人が来るだけでも珍しいだろうにプラス尺八でかなり珍妙だったろうと思う。

 でもきれいな街でレストランというレストランはどこも新しくてオシャレでキレイで落ち着いている。
鉄道すら入っていない街だからか、常にひっそりとした感じでした。


 終わってから彼の別荘に行って1時過ぎまでけっこう語り合って、「明日は俺はやく帰るよ」といって寝たにもかかわらず起きたら11時!!

 うわ、とか思って下に下りていくと子供たちは朝食食べ終え、俺の起きるのを待っててくれたクリストフだけが食わずに朝食の準備。えらい怒られました。


 そんな感じで駅まで送ってもらって電車で1時間リエージュまで舞い戻った日曜日、家で一休みしてこんどはブリュッセルのアルスムジカで室内楽の先生が指揮をする「月に憑かれたピエロ」を聴きに電車でGO。

 演奏はシャペル・ムジカル・ドゥ・ライン・エリザベートというエリザベート王妃設立のベルギーのエリート学生たちによるもの。チェロは知り合い。

 ブリュッセル着いて会場のボザールへ向かい、チケットインフォに行くと、出ました売り切れ宣言。
おいおい、俺はクタクタな体を押してリエージュからはるばる電車でこのために来たんだぜ、といっても苦笑いのインフォメーションおじさん、「残念なんですがぁ・・こちらとしましてももう持ち合わせがありませんで・・」と高島政信風に断るばかり。

 絶対なんとかなるだろうと思って入り口付近に待機していたら友達登場。
「チケットないの?!わかった、出演者のトモコに聞いてみてあげる」
電話・・
「出ないわね・・しょうがない、来て!」

無理やり入り口に向かう二人。
モ切りのお姉さん
「そちらの方の分のチケットは・・?」
ダメだろう、
と思っていると

友「彼は譜めくりやるはずになってるんですよ」
俺:え?・・

モ切り
「あら、そういうことなのね どうぞー」

すげー機転・・


によって、奇跡的に忍びこんでしまいました。



 んで、演奏は、かなり素晴らしかったです。歌の方とピアノの方が日本人でしたが、頑張ってました。

自分の今やっているシェーンベルクのコンチェルトにも、かなり良いインスピレーションを与えてくれた・・

そして、普通にこの曲はかなり良い曲だな、ということにも気が付きました。これは生で見ないと絶対に分からないと思うけど。

 ドイツ語の持つ美しさってのは、かなり精妙な感じ。憧れるねえ。フランス語もいいとしても、ドイツ語も話せるようになりたいと思うものです。


 そんなドイツ語の精妙な抑揚に思う存分支配されたシェーンベルクの音楽を、もう一度頭の中でリフレッシュさせて取り組もうかな、と思った日でした。